第5章 国民と防衛 

在日米軍施設・区域をめぐる環境保全への取組

 在日米軍施設・区域をめぐる環境問題は、国民の環境保全に対する意識の高まりなどを背景に、関係地方公共団体や周辺住民の重大な関心事の一つとなっている。このため、政府は、日米合同委員会の枠組などを通じ、米側と十分協議の上、わが国の公共の安全や市民生活に妥当な考慮が払われるよう対処している。
 在日米軍施設・区域において環境問題が発生した場合には、日米合同委員会の枠組などを通じ、米側からの情報収集、日米協議の上での実態調査、周辺住民への情報の開示などの措置を行ってきている。また、返還された在日米軍施設・区域において各種有害物質が発見される場合があり、これらについては、防衛庁において、原状回復措置の一環として適切に対処している。
 これらの環境問題を背景とし、2000(平成12)年9月、日米安全保障協議委員会(SCC:Security Consultative Committee)において、日米両国政府は、在日米軍施設・区域にかかわる環境保護が重要であるとの認識の下、在日米軍施設・区域の周辺住民、米軍人・軍属やその家族などの健康と安全の確保を共通の目的とすることに合意し、「環境原則に関する共同発表」1を行った。この発表のフォローアップのため、日米協議が強化され、具体的には、日本環境管理基準2(JEGS:Japan Environmental Governing Standards)の定期的見直しの際の協力の強化、環境に関する情報交換、環境汚染への対応などにかかわる協議について関係省庁が連携して取り組んでいる。
 さらに、昨年12月に開催された日米安全保障協議委員会では、環境保護のため、互いに協力を強化することを再確認するとともに、環境分野での更なる努力の重要性を確認した。
 防衛庁は、在日米軍施設・区域の環境保全について、今後とも関係省庁と連携して取り組むこととしている。



 
1)1)環境管理基準、2)情報交換と立入り、3)環境汚染への対応、4)環境に関する協議の4項目からなる。

 
2)日本環境管理基準は、在日米軍の活動と施設が人の健康と自然環境を保護できるよう保証する目的で在日米軍が作成した環境管理基準。環境汚染物質の取扱と保管方法などを定めている。


 

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