第4章 より安定した安全保障環境の構築への貢献 

1 イラクへの武力行使などに関連するわが国の対応

武力行使直後のわが国の対応

 本年3月20日、米英を中心とする国連加盟国によるイラクへの武力行使が行われた。小泉総理は、同日緊急記者会見を行い、米国の武力行使開始を理解し、支持する旨を表明した。さらに、政府は、全閣僚による安全保障会議を開催し、「緊急対処方針」として、1)イラクとその周辺における邦人の安全確保、2)国内の警戒体制の強化・徹底、3)わが国関係船舶の航行の安全確保、4)世界とわが国の経済システムの安定、5)被災民の発生に応じた緊急人道支援、の5項目を了承したほか、テロ対策特措法に基づく支援を継続・強化することとした。引き続き開催された臨時閣議では、内閣総理大臣談話と総理を本部長として全閣僚からなるイラク問題対策本部の設置を決定したほか、「イラク問題に関する対処方針」として、「緊急対処方針」に加え、1)イラク周辺地域への支援、2)イラクの復旧・復興支援や人道援助など、今後の事態を見守りつつ検討すべき措置を決定した。これに引き続き、政府は、第1回のイラク問題対策本部会議を開催し、閣議決定された「イラク問題に対する対処方針」に基づき、わが国の対応策を確認した。
 防衛庁は、同日、長官を本部長とするイラク関連事案等緊急対策本部を設置し、第1回の会議を開催した。会議では、長官が、情報収集態勢、艦艇・航空機による警戒監視態勢、駐屯地警備などの強化などの指示を行った。これを受け、防衛庁・自衛隊では、自衛隊各基地・駐屯地の警戒態勢の強化、中央指揮所での情報収集・警戒監視態勢の強化などを行った。
 防衛庁では、5月6日に至るまで、計9回にわたってイラク関連事案等緊急対策本部会議を開催し、イラクでの戦況の把握や防衛庁・自衛隊の対応状況などについての確認に努めるとともに、それらに基づく意見交換を行った。

 

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