第3章 緊急事態への対応 

1 武力攻撃事態などへの対応に関する法制への取組

法整備の意義など

(1)わが国における法整備の意義
 わが国に対する武力攻撃など、国や国民の平和と安全にとって最も重大な事態への対処について、国として基本的な体制の整備を図ることは極めて重要である。中でも関連する法制は国家として当然整備すべきものであり、また、わが国の長年の課題でもある。
 さらに、このような法制の整備は、わが国に対する武力攻撃事態などの未然防止に資するほか、武力攻撃事態などにおけるシビリアン・コントロールの貫徹の観点からも重要である。

(2)わが国における有事法制の研究
 一般論として、わが国に対する武力攻撃が発生した場合に必要な法制は、1)自衛隊の行動にかかわる法制、2)米軍の行動にかかわる法制、3)自衛隊及び米軍の行動に直接かかわらないが国民の生命、財産を保護するための法制、の3つが考えられる。
 これら3つの法制のうち、自衛隊の行動にかかわる法制は、1977(昭和52)年、内閣総理大臣の了承の下、防衛庁長官の指示により、近い将来に国会提出を予定した立法準備ではないとの前提で開始された。
 現行の自衛隊法などによって、わが国に対する武力攻撃が発生した場合の自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨幹は整備されているが、なお残された国内法制上の諸問題の研究を行ったものである。
 この研究は、防衛庁所管の法令(第1分類)、防衛庁所管以外の法令(第2分類)、所管官庁が明確ではない事項に関する法令(第3分類)の3つに分類して行われ、第1分類と第2分類については、それぞれ81(同56)年、84(同59)年に問題点の概要を公表した。
 こうした、約25年にわたる研究の成果を踏まえ、昨年4月、政府は通常国会に、武力攻撃事態対処関連3法案を提出した。

 

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