第3章 緊急事態への対応 

軍事情報の収集

 自衛隊は、電波情報については、上空に飛来する軍事通信電波や電子兵器の発する電波などを、全国各地の通信所などで収集し、整理・分析している。
 また、画像情報については、昭和59年度以来、商用の地球観測衛星の画像データを活用して、軍事的観点から他国の軍事基地などの状況把握を行っている。
 防衛庁・自衛隊は、この衛星画像情報業務を効率化・高度化するため、画像情報支援システム(IMSS:IMINT(Imagery Intelligence)Support System)を整備し、2001(平成13)年3月に運用を開始した。このシステムは商用の高分解能衛星画像(分解能11m級)にも対応するものである。
 政府は、わが国の平和と安全の確保に必要な情報の収集を目的2として、本年3月に情報収集衛星の打ち上げを行った。防衛庁としては、わが国独自の画像情報収集能力を確保するとともに、安全保障に資する貴重なデータを得ることができることから、本衛星の導入は極めて意義があると考えている。このため、これまでの画像情報業務を通じて得た解析、システム運用、解析要員の育成などに関する各種知識・経験を活用し、情報収集衛星の運用組織である内閣衛星情報センターへ隊員を派遣するなど、政府としての取組に積極的に協力している。
 また、本年6月末現在、海外では、防衛庁から外務省に出向した自衛官である防衛駐在官47名が、36か所の在外公館で軍事情報の収集などを行っている。
 なお、防衛駐在官制度の発足以来半世紀を経て、国際情勢などの環境も大きく変化していることから、防衛駐在官による情報の収集・分析態勢の一層の強化とこれらの情報の共有の迅速化、確実化を図るとの観点に立って、防衛情報の早期伝達や、防衛駐在官の対外的な呼称に関する改善といった通信、処遇、経費などの面で各種の改善を行ったところである。

 
外国軍人と調整中の防衛駐在官(本年5月)



 
1)センサーの性能を表す指標であり、わかりやすく説明すると、分解能1mの場合、1mの物体であれば物体として認識できる。

 
2)「政府は、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として、平成14年度を目途に情報収集衛星を導入することとする。」(1998(平成10)年12月閣議決定より抜粋。)


 

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