日米安全保障共同宣言以後の動き
日米安全保障共同宣言において日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定の維持において果たしている役割が改めて確認されたことを踏まえ、日米両国は97(同9)年9月に新たな「日米防衛協力のための指針」(指針)を策定した。また、指針の下で、わが国は、平素から様々な分野での協力を充実させるとともに、指針の実効性を確保するための施策として、周辺事態安全確保法など
1を成立させ、日米物品役務相互提供協定を改正したほか、包括的なメカニズムにおける共同作戦計画の検討及び相互協力計画の検討の実施、さらに緊急事態において日米それぞれの活動に関する調整を行うための調整メカニズムの構築などを行ってきた。これらの施策を通じ、日米間の防衛協力はより一層効果的なものとなり、日米安保体制の信頼性が一層向上した。近年におけるこれらの取組とその成果は、わが国周辺地域に大量破壊兵器やその運搬手段の拡散といった不安定要因が依然存在する今日において、わが国が、自らの安全の確保に万全を期しつつ、米国とともに地域の平和と安定の確保に取り組んでいくにあたっての基礎となっており、このことは日米安全保障共同宣言以降のわが国の取組が適切であったことを示している。
他方、本年5月の日米首脳会談においても「世界の中の日米同盟」を強化することが合意されたように、今日の安全保障環境の下、日米両国には、アジア太平洋地域における協力のさらなる充実と同時に、よりグローバルな課題への取組において国際社会と協力しつつ連携を強化していくことが求められている。特に、わが国と米国は、国際テロのほか、大量破壊兵器などの拡散や、非国家主体によるこれらの入手・使用の可能性といった新たな脅威のもたらす深刻な懸念を共有しており、昨年12月に開催された日米安全保障協議委員会(
SCC:Security Consultative Committee)
2(いわゆる「2+2(ツー・プラス・ツー)」会合)と日米防衛首脳会談においても、こうした脅威への対応などに関して日米が緊密に意見交換していく必要性につき認識の一致を見た。現在、日米両国は、このような新たな課題に適切に応えるべく、それぞれの防衛戦略に関する意見交換を含め、各レベルにおいて緊密な協議を続けている。また、テロ対策特措法
3に基づきわが国が実施している協力支援活動についても、このような課題に対する日米両国の協力の一例ともなっている。
3)正式名称は、「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」。