第1章 国際軍事情勢 

露中国境地域の動向

 ロシアと中国の間では、97(同9)年には、東部国境画定問題の実質的解決がなされ、また、98(同10)年には、西部国境画定が宣言された。さらに、99(同11)年の首脳会談において、国境河川の島を共同利用・開発することで合意し、両国の国境問題は着実に解決に向けて進展してきた。また、96(同8)年には、ロシアと中国にカザフスタン、キルギスとタジキスタンを加えた5か国により、国境地帯の兵力などについての「国境地帯における軍事分野の信頼強化に関する協定」が署名され、97(同9)年には、上記5か国による国境兵力削減協定の署名が行われた。両国間では、01(同13)年7月、「露中善隣友好協力条約」が調印され、未解決の国境問題を解決するために交渉を継続することや国境問題が解決されるまでは未画定の国境区間の現状維持を遵守することが合意された。昨年12月のプーチン大統領訪中時に北京で発表された共同宣言では、国境の未画定地域に関する交渉を完了させるために最良の時機であり、両国外交当局は国境交渉を早急に完了する旨記されている1
 このほか、経済、軍事など対中武器・技術移転を含む広範な分野にわたる露中関係の進展を反映して、現在、両国国境地域の軍事的緊張は冷戦期と比べて大幅に低下してきている。



 
1)アムール河の大ウスリスキー島、タラバロフ島及びアルグン河のロシア支配下にあるボリショイ島の3島の問題は未解決のまま残されることになった、との指摘がなされている。


 

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