テロ攻撃から国民の生命、財産を守るためには、前項で述べたように国際的な取組に対する協力に加え、わが国に対してテロ攻撃が発生した場合のわが国自身の対処体制も整えておく必要がある。本項では、同時多発テロ発生後にとられたテロ攻撃に対するわが国自身の取組のうち、自衛隊の行動に関する事項について説明する。
同時多発テロと同様の攻撃に対する備えに万全を期するため、国内にある自衛隊の施設並びに在日米軍の施設及び区域の警護のため自衛隊の部隊などの出動を可能とするとともに、通常時から自衛隊施設を警護できるようにしておくことが必要である。このため、政府は、昨年10月5日、第153回臨時国会にこれらを内容とする自衛隊法の改正案を提出し、改正案は同月29日成立し、11月2日公布、施行された。

警護出動の発令・撤収(てっしゅう)
内閣総理大臣は、国内にある自衛隊の施設並びに在日米軍の施設及び区域において破壊行為などが行われるおそれがあり、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、その施設などの警護のため自衛隊の部隊などの出動を命ずることができる。
その際、内閣総理大臣は、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、防衛庁長官と国家公安委員会との間で協議をさせた上で、警護を行うべき施設など及び期間を指定しなければならない。
また、内閣総理大臣は、指定した期間内であっても、自衛隊の部隊などの出動の必要がなくなったと認める場合には、速やかに、部隊などの撤収(てっしゅう)を命じなければならない。
警護出動時の権限
ア 警察官職務執行法の準用
警護出動を命ぜられた部隊などの自衛官の職務の執行については、警察官職務執行法の次の権限を準用する。
(ア) 質問(警察官職務執行法第2条)(注3−18)
(イ) 避難などの措置(同法第4条)(注3−18)
(ウ) 立入(同法第6条第1項、第3項及び第4項)(注3−18)
(エ) 犯罪の予防及び制止(同法第5条)
(オ) 武器の使用(同法第7条)
イ 武器の使用(資料16参照)
警察官職務執行法第7条の規定により武器を使用する場合のほか、警護出動を命ぜられた部隊などの自衛官は、職務上警護する施設が大規模な破壊に至るおそれのある侵害を受ける明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がないと認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができ、その結果人に危害を与えることとなっても、法律に基づく正当行為と評価されることとなる。
ウ 権限行使の場所的範囲
前述のア及びイの権限は、指定された施設などの警護のためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、その施設などの外部においても行使することができる。
エ 命令による武器の使用
警護出動を命ぜられた部隊などの自衛官が武器を使用するには、正当防衛又は緊急避難に該当する場合を除き、部隊指揮官の命令によらなければならない。