ブッシュ大統領は、翌日の9月12日の声明で、同時多発テロを単なるテロ以上の「戦争行為」と規定し、13日の記者会見では、このテロに対する闘いを「21世紀最初の戦争」、「新しい種類の戦争」と位置付けた。
20日には、連邦議会の上下両院合同会議において演説し、同時多発テロをオサマ・ビン・ラーデン率いる国際テロ組織「アル・カーイダ」(「タリバーンとオサマ・ビン・ラーデン」参照)によるものと特定し、これを匿(かくま)うアフガニスタンの「タリバーン」(「タリバーンとオサマ・ビン・ラーデン」参照)に対し、アル・カーイダの指導者の引渡し、テロリスト訓練キャンプの閉鎖などを要求した。また、テロとの闘いにおいては、外交、情報、法の執行、金融、軍事力といった利用可能なすべての手段を用いると述べるとともに、これは、アル・カーイダのみならず、すべての国際テロ組織を打破するまで続く未曽有の長い闘いとなるとして、国民に忍耐と団結を呼びかけた。さらに、テロリストを匿(かくま)う国は敵とみなすとして、各国に対し、テロとの闘いに協力を求めた。
米国は、以上のような基本的立場の下、国土防衛(注1−24)の強化とアフガニスタンにおける軍事作戦(注1−25)の準備を進めた。ブッシュ大統領は、9月14日、国家非常事態宣言を発し、空中哨戒(しょうかい)、港湾・空港や重要施設の警備などのため、予備役の召集を決定した(注1−26)。連邦議会も、同日、救援・復興、国土防衛、軍事作戦のための400億ドルの緊急予算(注1−27)、大統領に軍事力行使を認める決議(注1−28)をそれぞれ可決した。
わが国をはじめ国際社会は、同時多発テロを強く非難するとともに、米国によるテロとの闘いに支持と協力を表明した(わが国の対応については、3章1節参照)。
国連安全保障理事会(安保理)は、9月12日、同時多発テロを非難し、これを国際の平和と安全に対する脅威とする安保理決議第1368号を全会一致で採択した(注1−29)。
同盟国では、NATOは、9月12日、同時多発テロについて、国外からの米国への攻撃と判明した場合、集団的自衛権の行使を定める北大西洋条約第5条の適用の対象となり得るとする声明を発表した(注1−30)。オーストラリアも、9月14日、集団的自衛権の行使を定めるANZUS(Australia, New Zealand, United States of America)条約第4条の適用を決定した。
自らもイスラム過激派のテロの脅威に直面しているロシアは、プーチン大統領が、9月24日、米国に対する協力(注1−31)を表明した。
パキスタンはタリバーンを支援してきたが、米国からの協力要請を受け、姿勢を転換した。9月19日、ムシャラフ大統領は、情報交換、領空通過、後方支援(注1−32)について、米国に協力する意向を表明した。
また、アラブ首長国連邦が9月22日に、サウディ・アラビアが25日にタリバーン政権と断交した(注1−33)。
ラムズフェルド国防長官は、空爆開始直前の10月2日〜6日、サウディ・アラビア、エジプト、オマーン、ウズベキスタン、トルコを訪問し、理解と協力を求めた。
このように、国際社会は米国を中心とする反テロの国際的連帯を形成し、タリバーンに対してオサマ・ビン・ラーデンなどの引渡しを求める圧力を強めたが、タリバーンはこれを最後まで拒否した。