西部方面普通科連隊の新編

 わが国は約5,000の島嶼(とうしょ)を有しています。全国に約200ある有人の島嶼(とうしょ)のうち、約9割は西部方面隊管内(九州・沖縄方面)に所在しています。これらの島嶼(とうしょ)は、広範囲に分布し、かつ、九州から遠く離れて存在するという地理的な特性を有しています。そのような島嶼(とうしょ)におけるゲリラや特殊部隊によるものを含む侵略行為や災害に対し、迅速かつ機動的に展開して対処する態勢の確立が非常に重要です。陸上自衛隊では、そのような島嶼(とうしょ)での対処能力の充実・強化を図るため、本年3月27日に西部方面普通科連隊を新たに編成しました。

編成完結式において行進中の隊員


編成完結式において行進中の隊員

 西部方面普通科連隊は、西部方面隊の直轄部隊として、相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保(させぼ)市)に編成されました。西部方面隊の直轄部隊として編成されることにより、西部方面隊管内に分散する多数の島嶼(とうしょ)へ柔軟に展開することが可能となります。このような師団(しだん)などの隷下(れいか)に属さない方面隊直轄の普通科連隊の編成は初めてのこととなります。同連隊は、3個普通科中隊などからなり、約660名の隊員で構成されています。

 西部方面普通科連隊は、島嶼(とうしょ)での捜索能力や対処能力を強化するため、すべてヘリコプターに搭載可能な装備品により編成し、島嶼(とうしょ)へ迅速・機動的に展開できるようにしました。また、指揮通信能力を増強するために遠距離に対応した通信器材を装備するとともに、情報収集能力を増強するために監視器材を充実させました。さらに、同連隊の一部は精強なレンジャー隊員で構成されています。レンジャー隊員とは、サバイバル技術、偵察行動、山地機動、潜入などの各種訓練からなるレンジャー課程を修了した隊員であり、強靱(きょうじん)な体力と気力、高い技能を有しています。これらにより、同連隊はゲリラや特殊部隊による攻撃への対処能力が強化されています。

 また、このような各種能力の充実・強化により、島嶼(とうしょ)において災害が発生した場合においても、同連隊は迅速に島嶼(とうしょ)に展開し、被災状況の把握、通信の確保、被災者の救助、各種住民支援などを行うことが可能となり、高い島嶼(とうしょ)災害対処能力を保有することになりました。

ヘリコプターからのリペリング訓練


ヘリコプターからのリペリング訓練