アフガニスタンで使用された兵器の一例

 アフガニスタンでは、先端軍事科学技術を駆使した最新兵器がいくつか使用されました。また、広範囲な地域を戦場とし、かつ多くの兵士が洞窟に潜んでいたため、広範囲にわたる目標を効果的に制圧したり、洞窟内にある施設などを破壊するために次のような兵器が使用されました。

☆ プレデター

 中高度滞空型無人偵察機であるプレデター(Predator)は全長8.13m、巡航速度約150km/h、運用高度約7,600m、滞空時間40時間という性能を有しています。アフガニスタン上空において、プレデターが探知した目標情報は衛星を経由して米本国などに伝送されました。これにより初めて無人偵察機によってリアルタイムで戦場の状況を確認することが可能になりました。また、プレデターに搭載されたミサイルが目標に向けて発射されるという史上初の無人機からの攻撃も行われました。

プレデター [Department of Defense]


プレデター [Department of Defense]

☆ グローバル・ホーク

 高高度滞空型無人偵察機であるグローバル・ホーク(Global Hawk)は、全長13.53m、巡航速度約635km/h、運用高度約20,000m、航続距離約22,000km、滞空時間36時間という性能を有しています。プレデターに比べて地上からの撃墜が困難な高々度を飛行し、かつ高精度の解像度を誇るなど、プレデターの性能を大きく上回る最新鋭の無人偵察機です。アフガニスタンにおいて昨年11月下旬、当機が作戦に投入され、オサマ・ビン・ラーデンなどの国外逃亡阻止を含めた各種偵察監視活動が強化されました。

グローバル・ホーク [Department of Defense]


グローバル・ホーク [Department of Defense]

☆ サーモバリック爆弾

 サーモバリック爆弾の一種であるBLU−118Bは、洞窟などをピンポイントで攻撃することが可能です。戦闘機から投下され、レーザー誘導で洞窟入り口から数mまで入り込んだのち爆薬に点火、強烈な衝撃波と熱風が奥深くまで持続的に吹き込まれます。本年3月、アフガニスタンにおいて初めて使用され、洞窟内に立てこもっていた敵残存兵力を目標に使用されました。

(注)サーモバリック(Thermobaric):熱・圧力

☆ JDAM

 JDAM(Joint Direct Attack Munition:統合直撃弾)は、通常型爆弾(1,000又は2,000ポンド)にGPS付き誘導装置を装着し、大幅に命中精度を向上させた精密誘導兵器です。また、これまでのレーザー誘導爆弾とは異なり、あらゆる天候に対応することが可能です。アフガニスタンに対する空爆において最も大量に使用された爆弾です。

☆ クラスター爆弾

 爆弾本体に多数の子弾が収容された爆弾をクラスター爆弾と言います。戦闘機などから爆弾本体を投下し、本体から投網を打つように多数の子弾が散布され、広範囲の目標を破壊することが可能です。アフガニスタンにおいては作戦当初から広範囲に所在した防空システムや駐機中の航空機などを目標として投下されました。

(注)クラスター(cluster):実・花などの房

☆ デージー・カッター

 BLU−82、通称「デージー・カッター」は、本質的に爆薬を満載したタンクです。輸送機から投下され、地表面近くにおいて爆発、強烈な爆風を生じます。また、激しい燃焼のため酸素が失われ、地上を一時的に無酸素状態にします。デージー・カッターは爆発音や衝撃、爆風が強烈なためアフガニスタンの地下陣地に潜むタリバーン兵士に恐怖心を抱かせるという心理的効果を狙って使用されたものと考えられます。

(注)デージー・カッター(daisy‐cutter):ヒナギク刈り