中国遺棄化学兵器廃棄処理事業に対する協力

 中国遺棄化学兵器廃棄処理事業については、日中共同声明、日中平和友好条約の精神を踏まえ、化学兵器禁止条約に基づき、政府全体として取り組んでおり、防衛庁は、遺棄化学兵器処理を担当している内閣府に職員を出向させるなどの協力を行っている。
 これまでの調査の結果、わが国が中国に遺棄したと見られる化学兵器は約70万発に及ぶことが判明している。
 昨年9月、中国黒龍江省北安市において、初の本格的処理事業となる遺棄化学兵器の発掘・回収作業を行った。この作業では、発掘した総数3,080発の砲弾類のうち897発を遺棄化学兵器と鑑定し、厳重に梱包した。現在、これらの遺棄化学兵器は中国側で保管されており、中国に廃棄処理施設が設置された後、処理される予定である。この発掘・回収作業には、砲弾の鑑定、応急安全化処置などを行うため、防衛庁から、陸上自衛官10名が現地に派遣され、日本側要員の中核となってこれに従事した。
 これらの経験を踏まえ、防衛庁は、今後予定されている中国吉林省敦化市ハルバ嶺地区の遺棄化学兵器(通常弾を含む推定約67万発)の大規模処理事業などに対する貢献のあり方について検討している。

(写真)中国遺棄化学兵器廃棄処理事業に従事する隊員

中国遺棄化学兵器廃棄処理事業に従事する隊員