部隊行動基準の策定に向けた取組

 自衛隊の部隊行動に際しては、文民統制の下、法令などを遵守しつつ、それぞれの部隊がその時々の情勢や現場の実情に応じて的確な行動をとることが必要である。部隊行動については、その基本事項などを定めた自衛隊法などを受けて、部隊行動の要領に関する一般的な規範として各種規則が整備されている。しかしながら、不審船や武装工作員などへの対応が求められる中、部隊などがより的確に任務を遂行するためには、法令などの範囲内で部隊などがとり得る対処行動の限度を明確に示し、もって部隊行動を適切に律することが一層重要となってきている。このような観点から、防衛庁では、米国などにおけるROE(Rules of Engagement)に相当する「部隊行動基準」の作成作業を開始したところである。
 部隊行動基準は、法令などの範囲内で、部隊などがとり得る具体的な対処行動の限度を政策的判断に基づき示すことにより、部隊などによる法令などの遵守を確保するとともに、的確な任務遂行に資することを目的としている。これにより、部隊指揮官の政策的判断にかかわる負担は軽減されるとともに、部隊行動を政府の方針に的確に合致させることが容易になると考えている。