第3節 防衛計画の大綱

 わが国は、1976(昭和51)年にわが国の防衛力のあり方やその具体的な整備目標を定めた「防衛計画の大綱について」(前大綱)を策定し、以降、平成7年度まで、これに基づき防衛力の整備に努めてきた。
 しかしながら、策定後約20年が経過し、冷戦の終結などにより国際情勢が大きく変化していること、主たる任務であるわが国の防衛に加えて、大規模災害など各種の事態への対応や、より安定した安全保障環境の構築への貢献といった分野においても、自衛隊の役割に対する期待が高まってきていることなどを踏まえて、前大綱を見直し、「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について」(防衛大綱)が、95(同7)年、安全保障会議及び閣議で決定された(資料10資料11参照)。本節では、この防衛大綱の概要を説明する。

1 大綱が前提としている国際情勢

国際情勢認識

 防衛大綱では、その策定に当たって考慮した国際情勢について、次のように述べている。

(1) 最近の国際社会においては、東西間の軍事的対峙(たいじ)の構造は消滅し、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいている。他方、各種の領土問題は依然存続し、宗教上の対立や民族問題などに根ざす対立は、むしろ顕在化し、複雑で多様な地域紛争が発生している。また、核兵器をはじめとする大量破壊兵器やミサイルなどの拡散といった新たな危険が増大するなど、国際情勢は不透明・不確実な要素をはらんでいる。

(2) これに対し、国際的な協力を推進し、国際関係の一層の安定化を図るための各般の努力が継続されており、各種の不安定要因が深刻な国際問題に発展することを未然に防止することが重視されている。米露間及び欧州においては関係諸国間の合意に基づく軍備管理・軍縮が引き続き進展しているほか、地域的な安全保障の枠組みの活用、多国間及び二国間対話の拡大や国連の役割の充実へ向けた努力が進められている。
 主要国は、大規模な侵略への対応を主眼としてきた軍事力について再編・合理化を進めるとともに、地域紛争など多様な事態への対応能力を確保するため、積極的な努力を行っている。この努力は、国際協調に基づく国連などを通じた取組とあいまって、より安定した安全保障環境を構築する上でも重要な要素となっている。このような中で、米国は、引き続き世界の平和と安定に大きな役割を果たし続けている。

(3) わが国周辺地域においては、極東ロシアの軍事力の量的な削減や軍事態勢の変化は見られるものの、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、多くの国が軍事力の拡充・近代化を行っており、また、朝鮮半島における緊張が継続するなど、不透明・不確実な要素が残されている。しかしながら、同時に、二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取組など、国家間の協調関係を深め、地域の安定を図ろうとする様々な動きがみられる。また、日米安保体制を基調とする日米間の緊密な協力関係は、わが国の安全及び国際社会の安定を図る上で引き続き重要な役割を果たしていくものと考えられる。

(写真)萩山副長官への栄誉礼

萩山副長官への栄誉礼