新中期防に盛り込まれた新規装備

 新中期防においては、必要な機能の充実と防衛力の質的向上を図るため、様々な新しい装備品を開発・整備することとしています。ここでは、その主なものについて紹介します。

1 空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機
 この航空機の整備については、これまで約15年にわたって、防衛庁において研究・検討を行ってきており、前中期防においては、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処する」こととされていました。また、1999(平成11)年の安全保障会議において、「空中に於ける航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機については、次期防において速やかに整備を行うこととする」とされました。このような経緯を踏まえ、検討を重ねた結果、この航空機の活用により、 訓練空域における戦闘機の訓練時間を延ばし効率的に訓練を行うことができるようになるとともに、これにより、戦闘機の訓練のための離着陸回数が減少し基地周辺の騒音を軽減できるようになること、 天候急変などにより予定の飛行場に着陸できない場合において燃料枯渇を回避できること、 国際協力任務において活動する場合、給油のための経由地を減らすことができるので、従来より迅速に所要の人員・装備を輸送できるようになること、 防空任務にあたる戦闘機の滞空時間を延ばし、戦闘機が効率的に空中において警戒のための待機を行うことができるようになることから、新中期防において4機を整備することとされました。

2 ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)
 海上自衛隊は、4個の護衛隊群のそれぞれに、旗艦・対潜中枢艦として、哨戒ヘリコプター3機を搭載する護衛艦(DDH)1隻を保有していますが、まもなくこのうちの2隻の減勢が見込まれることから、新中期防においては、その代替更新のため、新たに2隻を建造することとしています。これらの護衛艦(DDH)については、軍事科学技術の進歩に対応しつつ、わが国の海上防衛という中心的役割に加え、大規模災害派遣や在外邦人の輸送などの多様な事態に対応するため、高い情報・指揮通信能力を有し、哨戒ヘリコプター3機に加えて掃海・輸送ヘリコプター1機を運用し得る能力のほか、対潜能力、ステルス性、居住性などの充実を図った新型艦の整備を考えています。なお、艦艇の建造トン数は、各年度の予算において精査の上決定されるものですが、計画の策定に当たっては、おおむね13,500トン程度を念頭に置いています。

3 固定翼哨戒機(P−3C)の後継機及び輸送機(C−1)の後継機
 海上自衛隊の固定翼哨戒機(P−3C)については、用途廃止により、平成20年代初めには所要機数を割り込む見込みであり、その後継機に関しては、軍事科学技術の進歩に対応して水上艦艇や潜水艦などに対する監視や哨戒を効率的に行うため、飛行性能や捜索能力などを充実させた新たな航空機の開発に着手することとしています。
 また、航空自衛隊の輸送機(C−1)については、用途廃止により、同じく平成20年代初めには所要機数を割り込む見込みであり、その後継機に関しては、将来の戦術空輸所要や国際協力任務などを考慮し、飛行性能の向上や最大搭載量、貨物室容量の充実を図った航空機の開発に着手することとしています。
 さらに、この両機種の開発に当たっては、コストを抑制するため、機体構造などの一部の共用化を図ります。

4 現有戦車の後継戦車
 戦車は、火力、機動力、防護力に優れた陸上防衛の中核となる装備であり、戦車部隊を保持することは、抑止力としても極めて重要です。今後、74式戦車の大量の用途廃止が見込まれていることから、新中期防においては、情報通信技術革命を受けた諸外国の戦車の技術的進歩にもかんがみ、新戦車の開発に着手することとしました。新戦車のコンセプトとしては、 情報通信技術革命に対応した高度のC4I(Command,Control,Communication,Computer,and Intelligence)機能の付加、 火力、機動力、防護力の向上、 全国的な配備に適した小型軽量化、 経費の低減、 将来の能力向上に資するための拡張性の確保を考えています

空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機

空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機のイメージ図

ヘリコプター搭載護衛艦

ヘリコプター搭載護衛艦のイメージ図

P−3Cの後継機

P-3Cの後継機のイメージ図

C−1の後継機

C-1の後継機のイメージ図

新戦車

新戦車のイメージ図