資料37 日本国防衛庁とロシア連邦国防省との間の対話及び交流の発展のための基盤構築に関する覚書

(モスクワ 1999年8月16日)
 日本国防衛庁とロシア連邦国防省(以下「双方」という)は、
 1993年10月13日に東京で細川日本国総理大臣及びエリツィン・ロシア連邦大統領により署名された「日露関係に関する東京宣言」において、両首脳が、安全保障面を含む広範な諸問題に関する両政府当局間の対話の重要性を確認し、このような交流を更に活発化させることに同意したことに基づき、
 1998年11月13日にモスクワで小渕日本国総理大臣及びエリツィン・ロシア連邦大統領により署名された「日本国とロシア連邦の間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言」において、両首脳が、最近発展してきている日露間の安全保障及び防衛分野における交流を肯定的に評価し、これを継続及び深化させる用意があることを確認したことに基づき、
 21世紀に向けた双方の間の関係の発展が、日露間の相互理解と信頼関係の深化及びアジア太平洋地域の平和と安全の強化に資することを認識し、
 国際及び地域の安全と安定の維持に関する対話並びに両国の防衛政策の正確な相互理解の重要性を確認し、
 双方の間の信頼関係の増進及び相互理解の向上を図ることを決意し、
 安全保障対話及び防衛交流の円滑な実施の必要性を認識し、
 以下のとおり表明する。
1.双方は、自国の法令及び予算の範囲内で以下の対話及び交流を実施する意図を有する。
(1)日本国防衛庁長官及びロシア連邦国防大臣の相互訪問の継続的実施
(2)日露防衛当局間において、防衛庁次官と国防省次官、統合幕僚会議議長と参謀総長、各幕僚長と各軍司令官との間のハイレベル対話の継続的実施
(3)安全保障、信頼醸成、軍備管理及び防衛当局間の協力の問題に関する双方の局長・審議官レベルの定期協議の開催
(4)翌年の年次交流計画の作成、信頼醸成措置に関する検討及び双方の局長級協議の結果に基づき選定されるその他の問題の検討を行うための共同作業グループの日本及びロシアにおける年2回の交互の開催
(5)双方が主催する地域及び自国の安全保障に関する諸問題を討議するための会議、シンポジウム及びセミナーへの参加
(6)日本国防衛庁統合幕僚会議事務局とロシア連邦軍参謀本部との間のスタッフ・トークス
(7)日本国陸上自衛隊とロシア連邦軍地上軍との代表団の相互訪問
(8)艦艇の相互訪問の継続的実施並びにその機会を利用した共同訓練及び親善訓練の実施
(9)双方の教育機関及び研究機関の代表団による交流
(10)1993年10月13日付けの領海の外側に位置する水域及びその上空における事故の防止に関する日本国政府及びロシア連邦政府との間の協定に基づく年次会合の開催
2.両国防衛当局間の協力は、上記の措置に限定されるものではない。双方は協力の新たな分野の追求、相互関係の拡大及び深化に向けて努力していく。
 毎年一致された時期までに、共同作業グループにより作成される交流計画の中で、翌年の具体的案件及びその実施時期が決定される。
3.双方は、各々自国の国内法令に基づき、対話及び交流の過程で知り得た情報を、双方の要望を踏まえ、適切に管理する意図を表明する。