(2) 国防政策

 中国は、従来、世界的規模の戦争生起の可能性があるとの情勢認識に基づいて、大規模戦争への対処を重視し、広大な国土と膨大な人口を利用したゲリラ戦主体の「人民戦争」の態勢をとってきた。しかしながら、軍の肥大化、非能率化などの弊害が生じたことに加え、世界的規模の戦争は長期にわたり生起しないとの情勢認識に立って、領土・領海をめぐる紛争などのより局地的な戦争への対処に重点を置くようになった。このため、1980年代半ば以降、大幅な人員削減や組織・機構の簡素化による編成・運用の効率化、装備の近代化や研究開発の強化などを進め、軍事力について「量」から「質」への転換を図り、近代戦に対応できる正規戦主体の態勢へ移行しつつある。このような基本方針に従い、これまで兵力の削減と核戦力及び海・空軍を中心とした全軍の近代化が行われてきており、一昨年開催された党大会においても、今後3年間で更に50万人の兵力削減を進めると同時に、ハイテク条件下での作戦能力の向上を図る方針が発表されている。また、昨年4月には、装備の一層の近代化に対応するため、軍の中央機構に総装備部が創設され、従来からの総参謀部、総政治部、総後勤部の3総部体制から、4総部体制に改編されたところである。
(第1-11図参照)

中国軍の配置