米国のTMDの概要
1 米国は、大量破壊兵器の拡散抑止などのための努力の一つとして、弾道ミサイル防衛(BMD)の能力向上が必要と認識し、湾岸危機などの経験を踏まえて、この分野で以下のような取組を行ってきています。
(1) 戦域ミサイル防衛(TMD)は、在外米軍、同盟国を防護することを目的としています。
(2) 米国は、TMDに加え、国家ミサイル防衛(NMD:National Missile Defense)を推進しようとしています。これは、米国本土を防衛することを念頭に置いた弾道ミサイル防衛構想であり、開発を促進する方向で検討されてきています。
(3) その他、米国は宇宙配備迎撃兵器などの先端技術の研究も続けています。
2 TMDは、陸上及び海上配備型の、それぞれ上層と下層をカバーする計四つの防衛システムを中核としています。これは、まずペトリオットやイージスシステムといった現有の防空システムの能力向上を行うとともに、戦域高高度地域防衛(THAAD)などの新しい防衛システムを開発しようというものです。このうちの海上に配備される上層で対応する防衛システムが我が国が米国との間で共同技術研究を行う際の対象となる海上配備型上層システム(NTWD:Navy Theater Wide Defense)です。
本年1月の発表によると、米国は上層システムを2007年までに配備するなどとしています。
(図参照)米国のTMDの概念図