防衛庁・自衛隊

第5章 国民と防衛

第1節 自衛隊と隊員
 
1 自衛隊の組織と人
 
(1)自衛隊の組織
 
 自衛隊は、我が国防衛の任務を全うするため、実力組織である陸・海・空各自衛隊を中心に、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛研究所、技術研究本部、調達実施本部、防衛施設庁など、さまざまな組織で構成されている。
 
(2)自衛隊の隊員
 
 自衛隊員は、自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官と事務官、技官、教官などから成り、多機能集団を構成している。
 
2 自衛隊の多彩な部隊
 
 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを主な任務としている。陸・海・空各自衛隊は、直接戦闘を行う部隊とともに、幅広い機能の後方支援などを行う部隊を保有しており、これらの部隊は、それぞれの任務を全うするために、日々激しい訓練に耐え、あるいは、厳しい環境の中で黙々とその使命を果している。
 以下、そのような多彩な部隊のうち、通信を確保する部隊、輸送関連部隊、離島などの最前線で我が国を支える部隊について紹介する。
 
(1)  自衛隊における通信は、指揮統制のための意思決定・命令伝達を支援する基盤であり、防衛力を組織的かつ有効に運用するための、いわば「神経系統」である。平時有事を通じて骨幹となる固定系の通信を緊急に補完・拡充したり、駐屯地や基地の外に展開した部隊の通信を確保するための部隊の例として、中央野外通信群(陸上自衛隊)、移動通信隊(海上自衛隊)、移動通信隊(航空自衛隊)などがある。
 
(2)  自衛隊が、防衛出動を始め、災害派遣など各種の事態に対応するためには、隊員、装備、補給品などを輸送することが不可欠であり、また、近年は、国際平和協力業務への参加など自衛隊における輸送ニーズは高まっている。そのような状況を背景に、輸送業務を担任する部隊の例として、中央輸送業務隊(陸上自衛隊)、第1輸送隊(海上自衛隊)、第3輸送航空隊(航空自衛隊)などがある。
 
(3)  自衛隊では、万一の事態に備えて厳しい環境の中、地道な活動を続けている部隊もある。そのような最前線で我が国を支える部隊の例として、沿岸監視隊(陸上自衛隊)、父島基地分遣隊(海上自衛隊)、第17警戒群(航空自衛隊)などがある。
 
3 日々の教育訓練
 
 指揮官を始めとする個々の隊員が高い資質と能力を持つとともに、部隊としても高い練度を有することは、自衛隊の任務遂行に不可欠であるのみならず、我が国に対する侵略を思いとどまらせる抑止力としての役割をも果たすものである。
防衛白書1997