防衛庁・自衛隊

第4章 我が国防衛の現状と課題

第3節 大規模災害などへの対応
 
 自衛隊法第83条に基づき、自衛隊の災害派遣は、原則として、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため、都道府県知事、海上保安庁長官、管区海上保安本部長又は空港事務所長の要請に基づき、実施されることとなっている。これは、都道府県知事などが区域内の災害の状況を全般的に把握した上で、自衛隊の派遣の要否、活動内容などを判断するのが最適であるとの考えによる。
 ただし、防衛庁長官又はその指定する者は、その事態に照らし特に緊急を要し、都道府県知事などの要請を待ついとまがないと認められるときには、要請を待たずに派遣できることが例外的に規定されている(いわゆる自主派遣)。
 また、部隊などの長は、防衛庁の施設又はこれらの近傍に火災などが発生した場合に、部隊などを派遣することができる。
 地震に関しては、発生前でも、「大規模地震対策特別措置法」に基づく警戒宣言が発せられたときには、地震災害警戒本部長(内閣総理大臣)の要請に基づき、地震による災害の発生の防止又は被害の軽減を図るため、地震防災派遣が行われる。自衛隊では、東海地域での大規模地震に備えた「東海地震対処計画」、南関東地域に大規模な震災が発生した場合に備えた「南関東地域震災災害派遣計画」を準備している。
防衛白書1997