防衛庁・自衛隊

第2章 より安定した安全保障環境の構築への我が国の貢献

第3節 安全保障対話・防衛交流
 
 我が国の安全のためには、自ら適切な防衛上を保持するとともに米国との同盟関係の継続を確保し、その抑止力を我が国の安全保障のために有効に機能させることで隙のない態勢を構築することが不可欠であるが、併せて、我が国周辺地域の情勢が安定していることも重要である。この安定には、日米安保体制など米国を中心とする二国間の同盟・友好関係とこれに基づく米軍の存在が重要な役割を果しているものの、さらにそれを補完するものとして、我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進を図ることが大切である。
 信頼関係が未成熟な国家間において信頼関係をもたらす重要な要素の一つは、相手国に対し自国が侵略を行う意図はないということを互いに認識し合うことであり、自国の軍事態勢や活動に疑念を抱かせないようにすることである。そのためには、各国が自らの国防政策及び軍事態勢の透明性を向上させ、相互の対話や交流を通じてお互いの考え方を明らかにするとともに、防衛当局者間の友好関係を増進させることによって、無用な軍備の増強や不測の事態の発生とその拡大を抑えていくことが重要である。また、国家間の協調関係を深め地域の安定を図るため、多国間や二国間の対話や交流を通じて、関係諸国との信頼関係を更に増進させることも重要である。
 このような考え方にしたがって、防衛政策を担当する防衛庁としては、積極的に周辺諸国との多国間・二国間の安全保障対話・防衛交流を推進し関係諸国との信頼関係の増進を図ることによって、より安定した安全保障環境の構築に向けた貢献を行っているところである。
 
1 活発化する多国間の安全保障対話
 
(1)ASEAN地域フォーラム(ARF)
 
 アジア太平洋地域における多国間の安全保障対話の場であるARFのプロセスに、引き続き防衛庁からも職員を派遣して、同プロセスの発展に積極的な関与を行っている。
 
(2)防衛庁主催による多国間の安全保障対話
 
 アジア・太平洋地域防衛当局者フォーラム、第5回西太平洋海軍シンポジウム、アジア・太平洋諸国安全保障セミナー、国際防衛学セミナー、国際航空防衛教育セミナーなどを通して、諸外国との信頼醸成に積極的に取り組んでいる。
 
(3)その他の多国間の安全保障対話への参加
 
 その他、第1回世界空軍参謀総長等会議、太平洋地域後方補給セミナー、太平洋地域陸軍管理セミナー、さらに、民間主催の北太平洋安全保障三極フォーラム、北東アジア協カダイアログについて、参加している。
 
2 二国間防衛交流の現状

 防衛庁は、防衛首脳クラスなどハイレベルの交流、防衛当局者間の定期協議、部隊間の交流、留学生の交換、防衛研究交流など、様々なレベルで二国間防衛交流を行っている。
防衛白書1997