- 冷戦終結後、アジア太平洋地域においては、軍事情勢に変化が見られる。極東ロシア軍は、90年以降、量的に縮小傾向にあるとともに、即応態勢も低下していると見られる。また、韓国とソ連、韓国と中国との間の国交樹立、米国とヴィエトナムの関係正常化、さらには、長年対立関係にあった中露間の大幅な関係改善など、外交関係にも変化が見られる。
しかし、この地域には、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、世界で最も著しい経済成長を背景に、多くの国々が国防費の増額や新装備の導入など軍事力の拡充・近代化を図っている。また、この地域には、我が国の北方領土や竹島、朝鮮半島、南沙群島などの諸問題が依然として未解決のまま存在している。
このような状況の下、米国を中心とする二国間の同盟・友好関係とこれに基づく米軍の存在が、この地域の平和と安定に引き続き重要な役割を果しているが、近年、この地域においても、域内の政治・安全保障に対する関心が高まっており、二国間の軍事交流の機会の増加が見られるほか、ARFのような地域的な安全保障に関する多国間の対話の努力も定着しつつあるところである。
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- 2 朝鮮半島
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- (1)全般状況
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