資料24 中期防衛力整備計画(平成3年度〜平成7年度)について

平成2年12月20日 安全保障会議決定

平成2年12月20日 閣議決定

 平成3年度から平成7年度までを対象とする中期防衛力整備計画について、「平成3年度以降の防衛計画の基本的考え方について」(平成2年12月19日安全保障会議及び閣議決定)に基づき、別紙のとおり定める。

(別 紙)

 中期防衛力整備計画(平成3年度〜平成7年度)

1.計画の方針

 平成3年度から平成7年度までの防衛力整備に当たっては、「中期防衛力整備計画(昭和60年9月18日国防会議及び閣議決定)の実施により、「防衛計画の大綱」(昭和51年10月29日国防会議及び閣議決定)に定める防衛力の水準がおおむね達成される状況を踏まえ、また、最近における国際情勢の変化等を勘案しつつ、「防衛計画の大綱」の基本的考え方の下、これに定める防衛力の水準の維持に配意して、効率的で節度のある防衛力の整備に努める。 計画の基本は次のとおりとする。

1 主要装備については、「防衛計画の大綱」に定める水準がおおむね達成される状況等を踏まえて更新・近代化を基本とし、一方、隊員の生活環境や情報、指揮通信等の各種支援機能、技術研究開発等広報分野の一層の充実に努め、防衛力全体として均衡がとれた態勢の維持、整備を図ることを重点とする。

2 組織、編成及び装備の各分野にわたって、一層の効率化、合理化の徹底を図りながら、防衛力の円滑な整備及び運用に努める。また、将来における人的資源の制約の増大等に的確に対応するため、自衛官定数を含む防衛力の在り方について検討を行い、本計画期間中に結論を得る。

3 日米安全保障体制の信頼性の維持向上を図るための各種施策を講ずる。

4 この計画の実施に際しては、所要経費の枠内において、極力経費を抑制するよう努力するとともに、他の諸施策との調和を図りつつ、これを行い、また、3年後には、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ、計画の修正を行う。

2.主要事業内容

1 防空能力

(1) 防空要撃能力については、引き続き、要撃戦闘機(F−15)を整備すをとともに、現有の要撃戦闘機(F−15)について、将来における技術的水準の動向に対応して今後とも有効に活用するため、所要の能力向上を図るための試改修を行う。

   また、警戒飛行部隊が保有する低空侵入に対する早期警戒監視機能について、諸外国の技術的水準の動向に対応してその充実を図るため、早期警戒管制機を整備する。

(2) 重要地域の防空火力については、引き続き、地対空誘導弾(ナイキJ)の地対空誘導弾(ペトリオット)への換装等を行うとともに、現有の地対空誘導弾(ペトリオット)について、所要の能力向上を行うほか、地対空誘導弾(ホーク)改善用装備品を整備する。

   また、短距離地対空誘導弾、近距離地対空誘導弾、高射機関砲等を整備する。

2 周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保能力

(1) 艦艇については、護衛艦、潜水艦、掃海艦艇、掃海母艦、ミサイル艇等を建造する。護衛艦の建造に当たっては、護衛艦部隊全般の効率的な在り方に留意しつつ、更新・近代化を推進する。

(2) 航空機については、引き続き、固定翼対潜哨戒機(P−3C)、対潜へリコプター(SH−60J)及び掃海ヘリコプター(MH−53E)を整備するとともに、現有の固定翼対潜哨戒機(P−3C)について、将来の技術的水準の動向に対応して今後とも有効に活用するため、所要の能力向上のための改修を行う。

3 着上陸侵攻対処能力

(1) 洋上・水際撃破能力については、引き続き、地対艦誘導弾(SSM−1)を整備するとともに、支援戦闘機(F−1)の減耗を補充するため、暫定的に現有の要撃戦闘機(F−4EJ改)の一部を転用する。

(2) 火力、装甲機動力、対戦車火力については、老朽装備の更新・近代化を主体に、火砲、新多連装ロケットシステム、戦車、装甲車、対戦車火器等を整備するとともに、空中火力の向上のため、引き続き、対戦車へリコプター(AH−1S)を整備する。また、各種装備の更新・近代化を契機として、効率化に留意しつつ、師団の編成の多様化を引き続き推進する。

4 輸送力及び機動力

  輸送力及び機動力については、引き続き、輸送機(C−130H)、輸送へリコプター(CH−47J)、輸送艦等を整備する。

5 情報・指揮通信能力

(1) 警戒監視については、引き続き、固定式3次元レーダー装置及び移動式警戒監視システムを整備するほか、艦艇、航空機等による周辺海・空域の監視態勢を充実する。

(2) 情報については、総合的な分析を実施し得る体制の充実に努めるとともに、各種情報収集手段等を整備する。

   また、OTHレーダーについて、その有用性等に関し引き続き検討の上、必要な処置を講ずる。

(3) 指揮通信については、引き続き、指揮機能の充実、防衛統合ディジタル通信網(IDDN)の整備、衛星通信の利用等各種施策を推進する。

6 継戦能力及び抗たん性

  継戦能力及び抗たん性の確保については、引き続き、弾薬の整備等各種施策を十作進する。

7 教育訓練体制及び救難体制等

(1) 教育訓練体制の充実及び効率・合理化を図るため、中等練習機(T−4)等の航空機、練習艦及び各種の教育訓練用器材等を整備するとともに、訓練施設等教育訓練環境の改善を図る。

   また、高等練習機(T−2)の後継機に関し、検討を行う。

(2) 救難体制等の向上及び効率化を図るため、救難飛行艇(US−1A)、救難へリコプター(UH−60J)、新型救難捜索機等を整備する。

8 人事及び衛生

  所要の隊員を確保し、士気の高揚を図るため、長期的な視点に立って、隊員の処遇改善等各種の人事及び衛生諸施策を推進する。

  その際、隊員の生活環境の向上を図るため、地域や勤務の特性等に配意しつつ、隊舎、宿舎等の建設・改修を推進するとともに、厚生施設等の整備・充実を図る。

9 施設

(1) 老朽建物の建替を推進するとともの、備品等の取得、部隊の編成に必要な施設を整備するほか、弾薬施設、訓練施設等現有施設の改善充実を図る。

(2) 防衛施設の円滑な取得及び安定的な使用に資するため、引き続き、基地周辺対策を推進する。

10 技術研究開発

  次期支援戦闘機、各種誘導弾その他の装備、器材等についての研究開発を推進するとともに、技術研究開発体制の充実を図るほか、技術進歩の趨勢等を十分に勘案して、先端的な基礎技術の確立に資するための各種研究を行う。

11 在日米軍の駐留支援及び日米防衛協力

(1) 日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用に資するため、在日米軍駐留経費負担に関する新たな措置を講ずる等、在日米軍駐留支援のための各種施策を引き続き推進する。

(2) 日米共同研究開発等を推進する。

12 その他

(1) 引き続き、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行なう。

(2) 将来における人的資源の制約の増大等を勘案して、自衛官定数を含む防衛力の在り方について検討を行い、本計画期間中に結論を得るものとする。

(3) 計画期間中の陸上自衛官の充足については、その現状を踏まえ、15万3千人を限度とする。

3.整備規模

 前記2.(主要事業内容)に示す装備品のうち、主要なものの具体的整備規模は、別表のとおりとする。

4.所要経費

 この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成2年度価格でおおむね22兆7500億円程度をめどとする。

 また、各年度毎の予算の編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、その時々の経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、この計画の所要経費の枠内で決定するものとする。

 その際、「今後の防衛力整備について」(昭和62年1月24日安全保障会議及び閣議決定)に示された節度ある防衛力の整備を行うという精神は、引き続きこれを尊重するものとする。

5.計画の見直し等

 この計画については、実施に際して随時必要に応じて見直しを行い、3年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ、計画の修正を行う。

 (別 表)

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