資料9 ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針(政府与党首脳会議決定)

(昭和62年10月7日)

 ペルシャ湾における我が国船舶の安全航行の確保は、本来我が国自身が責任を負うべきものであり、我が国としては、自らの国益を守るためにも、また、国際社会において重要な地位を占めるに至った我が国の責任を果たしていくためにも、ペルシャ湾における自由安全航行のために、従来からの外交努力に加え、より大きな貢献をすることが国内的にも国際的にも求められている。

 政府としてはかかる認識に基づき、我が国の貢献はあくまでも非軍事的手段によるとの基本的立場に立って、あらゆる角度から検討してきた結果、我が国として当面なし得る貢献としては次の方策が適切であると判断し、その実現のために、直ちに関係諸国及び国連と所要の協議を開始する。

1 船舶の安全航行に資する目的で、湾岸協力理事会諸国及び他の同湾利用国との協力の下に、湾岸地域に高精度の電波航行援助施設を早急に設置するための協力を行うこととし、これに要する経費を負担する。

2 湾岸及びその周辺地域の経済発展が長期的にはこの地域の平和に欠くことができない要素であるとの見地から、これらの諸国に対し経済・技術協力の拡充を図る。その一環として、オマーンに対しては、同国の要請を受けて農業開発、インフラストラクチャー整備のため通常より緩和された条件の日本輸出入銀行のアンタイド・ローン枠2億ドル程度を設定する。また、ジョルダンについては、円借款及び日本輸出入銀行融資枠で計3億ドル程度を設定する。

  紛争終結後、イラン・イラク両国の復興のために、我が国としても出来る限りの協力を行う。

3 国連を通ずる和平努力に関し、今後、安全保障理事会決議598実施のための停戦監視団の派遣等国際的枠組が成立し、その経費が必要となる場合には、我が国はその国際的責任に相応の積極的な財政負担を行うこととする。また、それまでの間、事務総長が紛争当事国間の調停を行うために必要とする経費については、先に事務総長に対して検討方表明した我が国の国連に対する緊急特別拠出金2,000万ドルの内から、1,000万ドルを限度としてこれに充当し得ることとする。

  なお、米国が、ペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている状況の下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う。

 

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