資料23 国会決議の「平和の目的」と自衛隊による衛星利用について

(昭和60年2月6日衆議院予算委員会で政府が明らかにした見解)

昭和44年5月衆議院において宇宙の開発・利用に関し国会決議がなされ、そこにおいて、我が国における宇宙の開発・利用は「平和の目的」に限り行うこととされております。

この「平和の目的」に限りということにつきましては、これまで国会で「非軍事」を意味する等との御議論がなされてきたところでありますので、政府といたしましても、これらの御議論を踏まえ、慎重に対処しなければならないと考えてきたところであります。

今般、海上自衛隊の派米訓練の際にフリートサット衛星を経由した放送により訓練に必要な情報を受信するための装置を、昭和60年度政府予算案に計上するに当たり、この国会決議の趣旨について政府内において慎重に検討いたしました。

もとより、国会決議の有権解釈は国会でなされるものでありますが、政府といたしましては、この国会決議の趣旨について、次のように理解をしているところでございますので、よろしく御理解いただきたいと存じます。

1 国会決議の「平和の目的」に限りとは、自衛隊が衛星を直接、殺傷力、破壊力として利用することを認めないことはいうまでもないといたしまして、その利用が一般化しない段階における自衛隊による衛星の利用を制約する趣旨のものと考えます。

したがいまして、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星につきましては、自衛隊による利用が認められるものと考えております。

2 御議論のありましたフリートサット衛星は、米軍用の通信衛星ではありますが、既にその利用が一般化しているインテルサット(国際通信衛星)、インマルサット(国際海事通信衛星)、CS−2(さくら2号)のような衛星と同様な通信中継機能を有するものでありまして、このようなフリートサット衛星を自衛隊が利用することは、国会決議の「平和の目的」の趣旨に反しないものと考えております。

 

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